『それでは只今より、○○○○トーナメントをスタートいたします。右側の選手の方々はご用意下さい。みなさまのご健闘をお祈りいたします。』 ピィーッ![ホイッスル]


このてのスタート前のアナウンスが非常に多いネ。わたくしはこれ聞くとガックリくるのであります。 右側優先という間違ったエチケットの解釈からきているのでしょう。そこで質問です。何故右側優先なのか? 左のレーンからスタートでは何故いけないのか? ましてや左レーンに3人入っていて、右レーンに2人だったら、人数の多い左からスタートするのがボウラーズエチケットなのであります。この状態で右からスタートしたらゲーム進行が片寄ってしまう。ストライクが多いレーンは進行が速く片寄ってしまう。従ってリーグなどではキャプテンが進行調整をしていたものだ。 マークチェックがあるからね。 それにしても右側優先っていうエチケットはどこから来たのだろうか?「人は右側、車は左側」からか? 結論を言えば、右側優先のエチケットは間違いなのである。 では正解は?


先にボールをもった方が優先 なのだ。


全く同時にボールを持って、譲れないなんてことはない。 ここで譲ったらオトコ(オンナ)がすたる、なんて思うヤツはまずいない。 ここにレーンの進行上の片寄りを調整していく配慮が生まれるのである。 というように、ボウリングは他人を思いやりながら行う紳士淑女のスポーツなのだ。 じゃー何故、右側優先なんていう間違ったエチケットがまかり通ってきたのだろうか? 種明かしはこんなところにあるのではないか・・・・?


むかしむかしのその昔、ボウリングルールの競技一般規程の最後の方にマッチゲームルールってのがあったとさ。マッチゲームで競い合い、テンフレームのラストボックスを前にして全くの同点1ピンたりとも違わない、勝負はラストボックスのカウントに託される。手に汗握る瞬間だ。こんな状態を前にしたボウラーにはふたつのタイプがあるようだ。


[A] テメエが先に投げてストライクで決めてしまいたいタイプ。
[B] 相手に先に投げさせて、その結果を見て心を決めて投げたいタイプ。


さて、あなたはどちらのタイプであろうか? 相対する2人のボウラーがどちらも後から投げたいタイプだったらどうなるか?
『どうぞどうぞ、あなたからどうぞ』
『いえいえ、あなたからお先にお投げ下さい』
こんな譲り合いが延々と続いたらゲームは先に進まない。 喧嘩になったケースでもあったのだろうか・・・・? そんなルールがあったんだョ。


○○○のような場合、右側にいる選手が決定権をもつものとする。
つまり右側選手がどちらが先に投げるかを決める権利をルール上もったのだ。 こんなルールは遠の昔になくなったのだが、間違ったカタチでエチケットとして今に残っちゃった。 これがわたくしの深読み解釈なのであります。 ちなみに日本のプロボウラーは7:3で先に投げたいタイプが多い。


冒頭のようなアナウンスはもう止めようよ。
『〜ご健闘をお祈り〜云々。』 含めて止めようよ。
お祈りまですることぁネーぜ! オヌシ。



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すみ光保

すみ光保(すみみつやす)

■1935年東京都生まれ。株式会社スミ代表取締役。1967年にライセンスNo.4第1期生プロボウラーとしてデビューする。ボウリングインストラクターライセンスはマスター。
主な著作は、子供とボウリング(ぎょうせい出版)、ボウリング(ぎょうせい出版)、VJボウリング(日本テレビ出版)、NBCJインストラクターマニュアル、ブランズウィック発行マニュアルなど多数。

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