当センターの高藤洋輔が、昨年の小池和久に続き6月1日でやっとプロボウラーになる。 苦労したネー・・・・と、はたでは思うのだが本人はケロッとしているところがいい。 しかしプロって一体なんなのか?


ボーダレス時代である。 第1次、2次、3次産業などという区分けはもう意味を持たない。 農家[第1次産業]が、東京の顧客と直接契約をしてお米を郵送している。これはサービスだ。[第3次産業] 男と女の境界線もあやふやになっている。男が化粧をしたり、ピアスを付ける。(オレも付けたい) プロとアマチュアの境界線もなくなりつつある。 スポーツの世界でもプロにならずともお金を稼げる時代になってきた。 卓球の愛チャンほかを見てみなさい。


芸術の世界では、もともとプロアマの区別はない。 趣味で絵を描いていて本職よりそっちの方が稼ぎがいいヤツだっているし、未成年で学生でありながらピアノで稼ぐ人もいる。 俳優の世界では、いまからオレは俳優だと思えば俳優なのだ。 あとは売れるか売れないかだ。 売れて稼いでそれでメシが食えればプロなのだ。 ボウリングのプロテストに合格したからって売れなければ本物のプロとはいえないのではないか?
ボウリングでプロボウラーになる為には、プロテストがあり120ゲームでアベレージ195ピンを超えねばならない。 超えて筆記テストと面接に受かればプロライセンスが交付される。 ではライセンスを手にすればプロボウラーなのか? 理屈ではプロボウラーだ。 しかしだ、ここからが大切なのだが、プロのライセンスを手にしたからってメシが食えるわけじゃない。 売れるわけじゃない。 打たねばならない、勝たねばならない。 付加価値を身につけねばならない。


プロインストラクターが10年前に誕生した。1級、2級のインストラクターには、プロテストのアベレージ195以上で合格というようなテストはない。 1980年よりNBCJでおこなってきた同じ内容、同じ講師、同じプログラムで何故プロなのか? C級以上はプロライセンス保持者でないとプロインストラクターを受けることができないが、受ければ全員合格である。ここでのアマチュアとプロの違いは何か? プロトーナメントプレイヤーはわかる。 しかし、プロインストラクターはインチキとしか言いようがない。 そのインチキインストラクターの講師をはじめから担当してきたわたくしはもっとインチキだ。 インチキ加担者である。しかし言わせてもらえば、わたくしはプロとして仕事をしてきたにすぎない。 単に仕事として講師業務を引き受けてきたにすぎない。


さて高藤、そして小池
Professional = 職業的,専門的,本職,くろうと,専門的職業に従事する人。
Amateur = 職業としてでなくたずさわる人,しろうと,愛好家。

キミ達はプロフェッショナルボウラーなのである。 C級プロインストラクター? そんなもの関係ない。 投げる専門家、投げることが本職なのである。 投げることで他からもお声がかかるようにならねばいけない。 そのためにはどうすればいいのか? 試合に勝つことしかない。ただそれしかない。 そしてプロの価値はどれだけのお客さまに支持されるかだ! ここに全ての鍵がある。 プロのライセンスをいかす道はトーナメントだけではない。 自力でメシが食えなければプロとして説得力はない。 ただでさえボーダレス時代だ。 テメエの力でアマチュアとの差を明確にしていくことなのだ。 キミたちがたとえフリーになったとしても、方々からお声がかかり、自力でメシ食えねばいけない。


そして更に言おう。 投げるだけでもダメなんだよ。 プロのワッペンをつけていると、ボウリングのこと何でもわかり、知っていて、できると思われてしまうという宿命を負う。 だから何でも知っていて、何でもできなければならない。 だから面白いのだ。


高藤、プロライセンス収得おめでとう。 これから小池と共にどんどんタイトルを手中にしていって下さい。 スタッフ全員で2人を応援しているよ。 そしてきっとお客さまも応援してくださる……。


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すみ光保

すみ光保(すみみつやす)

■1935年東京都生まれ。株式会社スミ代表取締役。1967年にライセンスNo.4第1期生プロボウラーとしてデビューする。ボウリングインストラクターライセンスはマスター。
主な著作は、子供とボウリング(ぎょうせい出版)、ボウリング(ぎょうせい出版)、VJボウリング(日本テレビ出版)、NBCJインストラクターマニュアル、ブランズウィック発行マニュアルなど多数。

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